マンションデベロッパーの倒産と管理会社・管理組合

◆マンションデベロッパー倒産(破綻)ラッシュが

当面続く現状◆

未曾有の大不況でマンション分譲会社(中堅・新興デベロッパー)が相次ぎ倒産

首都圏で事業展開していた主なデベロッパーだけでも、次の通り軒並み倒産しています。

 そして今後しばらくは中堅・新興デベロッパーを中心に倒産が続くものと見ています。

 

 (2008年以降に倒産した主なデベロッパー(首都圏中心))

株式会社グレース・株式会社アジャクス・株式会社第一住創・東洋ホーム株式会社・株式会社ゼファー・

マツヤハウジング株式会社・株式会社アーバンコーポレイション・セボン株式会社・

株式会社都市デザインシステム・株式会社エルクリエイト・株式会社ダイナシティ・株式会社ノエル・

シーズクリエイト株式会社・康和地所株式会社・ランドコム株式会社・株式会社モリモト・

ダイア建設株式会社・日本綜合地所株式会社・ニチモ株式会社・株式会社アゼル・

株式会社ジョイント・コーポレーション・株式会社千代田興産(旧グローバルエンタープライズ)・

株式会社アートハウジング・藤澤建設株式会社・株式会社穴吹工務店


◆マンションデベロッパー(分譲・開発会社)が

ここまで倒産ラッシュになる理由◆

マンション分譲会社(デベロッパー)の倒産ラッシュがここまで広がるには、

以下の理由があります。

 

1.耐震偽装問題   

 

「姉歯事件」が記憶に新しいと思いますが、マンション設計時の構造計算を偽造して

建物の耐震強度を落とした事件が起こりました。

この姉歯一級建築士を採用していたヒューザー(グランドステージシリーズのマンション

分譲)のマンションでは、耐震強度が国の定める基準を大きく下回るところが多く、

マンション購入者話し合い自費で建て替えを行わざるを得ませんでした。

この耐震偽装事件が建築不安につながり、特に中小デベロッパー(ノンブランド)に

対する不信感が買い控えを生むようになり、売上が落ちていきました。  

また、マンションに関する知識がほとんどない購入者(消費者)を保護する観点から、

程なく建築基準法が改正され、検査機関による構造計算の審査(チェック)に時間が

掛かるようになりました。 

その結果、中小デベロッパーを中心に資金繰りが一層悪化していきました。

 

2.サブプライムローン問題から金融不安へ    

アメリカのバブル景気を支えていたサブプライムローン(という低所得者向け住宅ローン)

が破綻し、それまで好景気を支えていた投資家が資金を引き上げ始め、アメリカ経済が

下降します。  

アメリカ経済は世界に波及し日本も巻き込まれます。それまで自転車操業的に借り入れ

を起こし分譲マンションのみならず投資家(ファンド)向けマンションなど開発していた

新興デベロッパーは、金融期間の資金引き締めにより一気に資金繰りが悪化し、

程なく倒産していきました。

 

3.リーマンショックから大不況へ  

 

さらに追い討ちを掛けたのが、2008年9月に起こったアメリカのリーマンブラザーズの

経営破たん(リーマンショック)です。 世界的な恐慌の流れを呼び、今日の不況に至って

います。  

金融機関は中小・新興デベロッパーに対し更なる融資の引き締めを行い、ますます

資金繰りが悪化します。また消費者心理も冷え込み、更なる買い控えが起こります。

日本綜合地所による新卒内定者の取り消し事件があったのもこういった影響から

でした(その後同社は倒産)。

 

4.住宅瑕疵担保履行法の施行

 

平成12年4月に施行された『住宅の品質確保の促進等に関する法律』(品確法)により、

マンションのデベロッパーはマンション購入者に対し(部位により最大)10年間の瑕疵

保証をつける義務があります。  

ところが、この保証義務を持つデベロッパーが倒産した場合は想定しておらず、折角の

法律も不完全でした。上述1.の姉歯事件により倒産したヒューザーのマンションを購入

した人は、建物に欠陥(瑕疵)があっても泣き寝入りするしかありませんでした。  

そこで新たに設けられたのが、この『住宅瑕疵担保責任履行法』 です。この法律では、

上述のようにデベロッパーがアフター保証期間中に倒産した場合を想定し、デベロッパー

には事前に『一定額を供託』するか、『保険に入る』ことが義務付けられます。

 

マンション購入者は、もしデベロッパーが破綻した場合でも、瑕疵の内容に応じた金銭的

な保証が受けられるようになります。(平成21年10月引渡以降のマンションが対象)  

デベロッパーにとっては、ただでさえ売れ行きが悪い上にさらなる事業コストを上積みしな

ければならず、経営を圧迫していくと見ています。

 

また、今後は少子高齢化に伴う人口減少が決定的となっており、マンションは慢性的に

供給過剰となっています。このような根本的な問題も考えると、しばらくはデベロッパーの

淘汰が進むものと思われます。


◆子会社(グループ会社)である管理会社はどうして

倒産しないのか?◆

マンションデベロッパーが倒産した場合、多くのマンション管理組合は、親会社の

デベロッパーが倒産したのだから、子会社(グループ会社)の管理会社も連鎖倒産

するのではないか?』『管理会社も経営が危ないのではないか』と心配になります。

 

また、そもそもこの大不況時に管理会社は生き残れるのか?と不安に思う方もいる

かも知れません。

しかし昨今において管理会社が共倒れするようなことはまずありませんし、業績不振

で倒産するようなこともそう多くはありません。 この意味において、仮にお住まいの

マンションのデベロッパーが倒産したとしても、管理組合(理事会)として動揺し慌てる

必要はありません。

 

ところで、この『管理会社がなかなか倒産しない理由』は、次の通りです。

1) 非常に安定した財務

管理会社にとって親会社であるデベロッパーは『仕事の供給元』ではありますが、

実際の売上は建物完成後に管理組合から(管理委託料として)あがることとなります。

またデベロッパーの下請けということもありません。 管理組合からの管理委託料は

毎月の定額収入として手堅いですし、真面目に管理サービスを提供していれば

そうそう解約されることもありません。 またポートフォリオの観点からも、お得意様で

ある管理組合の数は多く、一、二件の管理組合から解約されたとしてもダメージは

非常に少ないと言えます。 この不景気において、財務上は非常に安定した優良業界

とも言えます。 (もちろん管理業以外の事業に手を出して失敗すると倒産する可能性

がでてきます。)

 

2)親会社と分離する企業経営

デベロッパーが倒産した場合、子会社である管理会社の連鎖倒産を心配する人が

います。しかし実際は別会社であり、連結決算していることもありません。 また、

管理会社の株式を親会社であるデベロッパーが100%持っていたとしても、

デベロッパーの倒産により株主が変わるだけであり、会社の存続そのものが危ぶま

れるようなことはありません。

 

このような理由で、デベロッパーが破綻したとしても管理会社の経営に大きな影響は

なく、管理組合としては慌てたり動揺する必要はほとんどありません


◆最後に…マンション管理組合として注意すべきこと◆

自分が買ったマンションのデベロッパーが倒産しても、子会社(グループ会社)である

管理会社が直ちに倒産することはなく、管理組合として急に慌てる必要はない、

と述べました。 とは言え、全く心配がないわけではありません。あなたが管理組合の

理事(長)でしたら、デベロッパーの倒産が起きた場合に次の点を注意して下さい。

 

1)建物のアフター瑕疵補償切れ

平成12年4月に施行された『住宅の品質確保の促進等に関する法律』(品確法)に

よって、マンションのデベロッパーはマンション購入者に対し(部位により最大)

10年間の瑕疵保証をつける義務があります。 

しかしこの保証義務を持つデベロッパーが倒産した場合は保証がなくなります。 

この場合に管理組合がとるべき方法は『デベロッパーが保証すべきアフター補修義務

を施工会社(ゼネコン)に承継してもらう』のです。

 

元々アフター保証は売主であるデベロッパーの義務ですが、実務上はデベロッパー

がゼネコンに補修を依頼します。ゼネコンの施工不良が原因のアフター補修のため、

ゼネコン負担で工事させることも結構あります。 このような実務ですので、管理組合と

しては実際に補修作業をしてくれるゼネコンと直接会話して、デベロッパー倒産以後も

アフター保証の地位を継承してもらうのです。 こうすることで、建物のアフター保証切れ

の危機を乗り越えることが可能となります。

また、平成21年10月引渡し以降のマンションにおいては、『住宅瑕疵担保責任履行法』 

という新法の適用により、デベロッパーが破綻した場合でも瑕疵の内容に応じた金銭的

な保証が受けられるようになります。(上述の通り)

 

2)管理会社の体制変更に伴う悪影響

親会社であるデベロッパーが倒産しても管理会社が連鎖するようなことはほとんどありま

せんが、親会社の成績不振による影響が全くないわけではありません。

 

まず、デベロッパーが倒産を免れるための戦略の一つとして、管理会社(の株式)を売却

することがあります。 これは不況になり資金繰りの悪化したデベロッパーが、健全な経営

を続ける管理会社を手放すことで運転資金の充実を図ろうとするものです。 株式を売却

された管理会社は新株主の影響を受けることになります。従来のやり方がガラリと変わる

ことが考えられ、その結果は良くも悪くも管理組合へ還元されることになります。

 

マンション管理に理解の低いファンド系企業が株主になると、利益率重視のために現場を

軽視する戦略を取ることで現場のサービス品質低下へと繋がる可能性がでてきます。

また、親会社であるデベロッパーが倒産に至らなくても、子会社である管理会社に親会社

の販売支援(チラシ配りなど)を強制したり、グループ会社として給与の減額を言い渡され

るケースがあります。

 

一方、管理会社株式の取得先が別の大手管理会社(つまりM&A)だったりすると、管理

組合が支払ってきた管理委託費が大手管理会社のそれと合わなくなり、特に小規模

マンションでは値上げされるか管理業務を解約される可能性も今後は出てくるでしょう。

さらに、買収された管理会社の社員は給与面での待遇が悪化したり出世ラインからはず

されたケースを見かけることが多く、社員のモチベーション低下に繋がる恐れがあります。

 

そもそもデベロッパーの子会社(グループ会社)は営業努力をしなくても親会社がマンション

を建て続ける限り売上を伸ばす仕組みですので、マンション供給元である親会社が倒産

して売上のネタがなくなると営業努力(他の管理会社から管理組合を奪う)をしなければ

なりませんから、営業部門を抱えるコストがアップします。

このように、管理会社はデベロッパー倒産による影響が直撃しにくいものの、少しずつ

経営(戦略・財務)に影響を及ぼすでしょう。今後も多くのデベロッパー倒産が想定されます

ので、管理組合として注視する必要があります。

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